古社への誘い 

 社日とは
 
 

 甕甕神社末野神社の社殿の奥に「社日」と呼ばれる五角形の石柱がある。

 

    

          末野神社の社日                    甕甕神社の社日

         

 社日
 

雑節の一で、春分・秋分に最も近い前後の戊の日。社とは中国で土地の守護神、または部族の守護神、その祭祀のことをいったから、社日とは社の祭を営む日のことである。中国では社の祭は時代や地域によって一様でないが、唐代には立春と立秋後の第五の戊の日をあてたという。『荊楚歳時記』の一本には、秋分の日に牲をもって社をまつり、仲春の月よりも盛大に祝って、翌年の豊凶をも占ったという。日本の社日はこの中国から伝来したものであるが、稲作が開始される春と、収穫を迎える秋とに祭る田の神の信仰を基礎に受容したものであろう。現在の習俗でも、春秋の社日には仕事を休み、土をいじらないなどと伝えている。そして東九州や北九州、中部地方などでは、社日様は田の神または作神様といい、この両季に田の神と山の神の去来信仰と同様の伝承をもっている。
                                                   
『神道辭典』より

 この日は産土神に参拝し、春には五穀の種を供えて豊作を祈願し、秋にはその年の収獲に感謝する。また、春の社日に酒を呑むと耳が良くなるという風習があり、これを治聾酒(じろうしゅ)という。島根県安来市社日町などが地名として残っている。
                               フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より

 

五角形の各面には、五柱の神名が記されている、「天照皇大神、大己貴命、稲倉魂命、埴安媛命、少彦名命」。天照皇大神が正面でその右面から上記の順で並ぶ


 天照皇大神は伊勢神宮に祀られる八百万の神々の中でもトップに位置する女神で、太陽を象徴する神と民族の祖神というイメージの、二重の性格を重ねて祀られています。また、太陽の女神として大地の豊穣性を体現する母なる女神・大地母神的な性格の他に、武力・軍事力に象徴される男性的なパワーを兼ね備えている、それがあまたの男性神を押しのけて、実力ナンバーワンの日本の最高神として君臨している理由なのかもしれません。

 大己貴命は大国主命の別称で日本の神さまのなかのスーパースターです。出雲大社の縁結びの神さまで、七福神の大国様ともいわれています。出雲神話の主役で、全国の国津神の総元締みたいな存在です。少彦名神とコンビを組んで全国をめぐって国土の修理や保護、農業技術の指導、温泉開発や病気治療、医薬の普及、禁厭の法を制定、といった数々の業績を残した偉大な神です。

 
稲倉魂命は秦氏の氏神で、別称宇迦之御魂神といい、稲荷神として多くの人々に信仰されています。稲荷神は今日では一般に商工業方面に霊威を発揮する神として信仰されていますが、名前に「稲」とつくように、もともとは五穀と養蚕を司る穀物神、農耕神で、稲の生産、豊穣を守護する神として崇められていました。

 埴安媛命は土の神、田畑の土壌の神、陶器の神です。伊邪那美命が火の神・迦具土神を産んだときに、火傷で苦しみながら糞をした、その糞から生まれた神といわれています。単なる土の神というだけでなく作物の実りをもたらす神であるともいえ、食物神の豊受大神と一緒に祀られている場合も多いのです。土のエネルギーを司る埴安神は、陶器の神であるとともに田畑の土壌に宿って穀物の豊作をもたらす神でもあります。

 少彦名命は国土経営の神、医薬神、酒神、温泉神といわれています。海の向こうの常世の国から光り輝きながらやってきた小人神で、御伽草子の一寸法師などの「小さ子」のルーツとされています。その人気の秘密は、小人神でありながら国造りという大きな仕事を成し遂げるという、サイズとスケールの関係の飛躍性にある。さらにその性格は明るく、いたずら者でユーモラス。しかも豊かな技術や知識と優れた知恵を備えている。力ではなく、持ち前の知恵を働かせて困難を見事に克服してみせるという独特なヒーロー性も見逃せません。こんな少彦名神が大国主命をパートナーとして行った一番の仕事は、全国の国造り、山造り、島造りなどの国土開発事業や農業技術の指導普及です。
                                               ……(八百万の神々より)




 
つまり日本の社日は中国から伝来したものを、稲作が開始される春と収穫を迎える秋とに、田の神信仰として受け入れたもので、社日で祀られている神様達も全て何らかの形で農業と関係する神様ばかりである。

 ところで、この写真は、熊谷市三ヶ尻に鎮座する三ヶ尻八幡神社、社殿の西側にある石碑だが、よく見ると壁面に神様の名前が彫ってあり、社日特有の神々が彫られている。(但し神々の順列は違うようだ)形は違えども社日に見えないだろうか。

 

        

              
          三尻八幡神社 社殿西側に石柱がある。社日に見える。

   
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